2026年8月18日火曜日

映画「オデュッセイア」で描かれた古代世界を訪ねる旅


古代ギリシャの叙事詩「オデュッセイア」の世界を豪華に映像化!「トロイの木馬」を生み出し、トロイ戦争をギリシャ方の勝利に導いたとされる英雄オデュッセウス。「オデュッセイア」は、トロイ戦争終了後、オデュッセウスが故郷イタケに帰るまでの、10年の漂流の旅を描いたものです。映画では、「トロイの木馬」の登場、燃え盛るトロイの街と、ダイナミックな映像で見せてくれます。

●「トロイの木馬」のイメージはトルコでつかむ!

ギリシャ連合軍とトロイ軍の戦争は10年経っても決着がつかず、ギリシャの知将オデュッセウスはある計略を思いつきます。撤退したギリシャ軍の置き土産として巨大な木造の馬を残し、内部にオデュッセウスらギリシャの兵がひそみます。トロイ軍は戦利品として意気揚々と馬を城壁内に運び込みますが、夜、人々が寝静まったころに木馬からギリシャ兵たちが飛び出し、鉄壁とされたトロイの城の守りを内側から崩したのです。

映画では、トロイの木馬は海岸に打ち上げられており、前脚を上げた美しい姿をしてします。史実にはないもので、トロイの木馬が実際のどのようなものであったかは誰も知らないわけですが、今、トルコのトロイ遺跡の入口近くには、このような模型が立っています。

遺跡そばにあるトロイの木馬

トロイ遺跡の最寄りの街チャナッカレまでは、イスタンブールからバスで約5時間。遺跡まで30分ほど車で移動します。ちょっと不便ではありますが、物語の中にしか存在しないと思われていたトロイがどのような街であったのか、イメージをふくらませることができる場所です。

なお、2004年の映画「トロイ」でもトロイの木馬の模型が作られ、これは現在、チャナッカレの広場に展示されています。

●「トロイ」の街はモロッコだった!?
映画「オデュッセイア」のトロイ戦争のシーンは、トルコではなく、モロッコのアイト・ベン・ハッドゥで撮影されました。ここは、地元のベルベル人がたちがアラブ人の侵略から身を守るため築いた11世紀の要塞。これまで「グラディエーター」など数々のハリウッド作品のロケ地となってきました。これからは、「オデュッセイア」の撮影地としても有名になりそう。

ロケ地となった要塞アイト・ベン・ハッドゥ

映画は、アイト・ベン・ハッドゥの建物群の中にアテナ神殿セットなどを築いて撮影されました。撮影終了後は撤去されましたが、現地で特徴ある塔の形を見れば、「オデュッセイアのトロイだ!」とわかるはず。

アイト・ベン・ハッドゥはマラケシュから車で4、5時間。ワルザザートやメルズーガなど、砂漠を周る旅の途中で寄るのが定番です。

●主演マット・デイモンはヨルダンにも縁がある
オデュッセウスを演じたのは、今やすっかり貫禄の大スター、マット・デイモン
オデュッセウスを演じるマット・デイモン
photo by Melinda Sue Gordon © Universal Studios. All Rights Reserved.

「あれ、マット・デイモンって、『オデッセイ』という映画がなかったっけ?」と思った人も多いかも。実は、
映画「オデュッセイア」=原題 The Odyssey(オデッセイ)=古代ギリシャの物語
映画「オデッセイ」=原題 The Martian(マーシアン)=火星に取り残された宇宙飛行士の話

で、odyssey(オデッセイ)とは、「英雄オデュッセウスの旅」から転じて「長い放浪の旅」といった意味にもなるのです。まるでマット・デイモンがオデュッセウスを演じることが定められていたような、このことはネットでも一部話題になっています:-)

映画「オデッセイ」の火星の光景が撮影されたのは、ヨルダンの砂漠ワディ・ラム。ここも映画「アラビアのロレンス」など、数々の名作が撮影されたことで有名です。

そのまんま火星!?ヨルダンのワディ・ラム

ワディ・ラムはヨルダン最大の名所ペトラから車で約1.5時間。まるで宇宙空間のような、ガラス張りドームのキャンプに泊まるのが人気です。

モロッコのアイト・ベン・ハッドゥで「オデュッセイア」のトロイの街を確認したら、ぜひヨルダンのワディ・ラムで「オデッセイ」の火星を実感してみてください。

お問い合わせは:
映画『オデュッセイア』
2026年9月11日(金)日本公開
監督:クリストファー・ノーラン
配給:ビターズ・エンド ユニバーサル映画
(C) 2026 UNIVERSAL STUDIOS

2025年11月9日日曜日

大エジプト博物館が正式オープンしました!

ツタンカーメンの黄金マスク公開

2024年にメインギャラリーがオープンした、大エジプト博物館。ツタンカーメンの黄金マスクも移ってきて「ツタンカーメンギャラリー」が公開となり、2025年11月4月、ついに正式グランドオープン一般公開開始となりました(11月4日は、ルクソールのツタンカーメンの墓発見記念日でもあります)。

場所はギザのピラミッドエリアのすぐそば。この博物館ができると初めて聞いたのが2002年のこと。エジプトでも待てば実現する!関係者一同、感無量です。11月4日の一般公開開始日の様子を、写真でご紹介します。

▼入口から大階段を上がる

駐車場から入口へ向かうとこんな感じ

チケット売り場はそれなりに混雑

グランドオープンのセレモニーで使われた施設が残っていました

セレモニーには吉村作治教授も出席

入口ホールにあるラムセス2世像

大階段にも多数の像が

全面のガラス窓からピラミッドが見えます

▼メインギャラリー

いよいよ中に入ります!

展示品はガラスケースの中に

床にあるギャラリー番号をたどっていきます

ルクソール「デール・エル・メディナ」専用の部屋へ

壁画が見事なんですよねえ

▼ツタンカーメンギャラリー

見るからに立派そうなツタンカーメンギャラリー

居並ぶ黄金の厨子。興奮が高まります

ウシャブティ、こんなにたくさんあったんですね!

なんと日本語の説明が(博物館建設費の6割を日本が融資しているらしい)

黄金の棺。純金の棺が5重になっていたとか

▼太陽の船博物館

別館になっている「太陽の船博物館」

ファラオの魂が乗ったという太陽の船

上から眺めることもできます

発見の様子を展示。早稲田大学が発掘した船も、ここで公開される予定

▼ただいま建設中!

ピラミッドと博物館を結ぶ橋

地下鉄の駅。建物だけできています

収蔵品約10万点東京ドーム10個分の広さという巨大博物館。2時間でもまだ短い、3時間くらいはかけたい感じです。

ついに正式オープンした大エジプト博物館を日本語ガイドとともに回ってみたいという方はお知らせください!

お問い合わせは:

2025年7月9日水曜日

映画「わたしは異邦人」にはトルコ遺跡の魅力がいっぱい!

 

シデ遺跡にやってきた主人公のダフネ

トルコの地中海岸に、「シデ」という古代ローマ遺跡があります。このシデを舞台としたトルコ映画が日本で公開されるというので、試写に行ってみました。

主人公のダフネはイスタンブールで孤児として育ちますが、母親を探すためのヒントを求め、シデの街にやってきます。ダフネにはなんと死者の霊と会話をする能力があり、死んだ人が生きている人と会話をする手助けをしてあげたりします。古代ギリシャ・ローマでは巫女さんがシャーマンだったりしたそうで、ちょっと意識しているのかなあ、と。

ダフネという名前自体、古代ギリシャのニンフの名前ですよね。アポロンの求愛を拒み、月桂樹の木に身を変えてしまった、あの人です。

ダフネと交信する死者たち

左から、娘と話がしたい元娼婦、死者だけどダフネのよき友である政治活動家、右はなんと古代の神官。意外とリアル?で、トルコって、死後の世界を意外に身近にとらえている人がいるのかもしれません。政治活動家は生前つらい出来事を背負っていたのですが、なんだかとても明るくて、ダフネに「君をハグしたいけど、できない!」って。

古代人が出てくるのも面白いですね。現代のトルコ人は、基本的に中央アジアから移り住んできた民族ですが、古代ギリシャ・ローマ、もしくはそれ以前に生きた人たちも自分たちの歴史の一部ととらえているのかなあ、と。

ゲストハウスの女主人

ダフネが泊まるシデのゲストハウスは、いかにもトルコの地中海岸にありそうな、まあそれはそれはステキなところ。トルコって基本的にイスタンブール、カッパドキア、パムッカレで知られていますが、実は地方の小さなゲストハウスでのんびり過ごしたりするのにいいところ。人が優しくて、かなりリーズナブルです。

この女性は亡くなった夫からあまりよくない扱いを受けていたようで、夫は死んでからもいろいろ文句を言いに出てくるのですが、それを見たダフネが女主人を励ます、という場面もあります。

シデの浜辺

死者の霊というのは、やはりこの世に悔いがある人たちのもので、思い残すところがなくなると、海へ消えていきます。この辺も何だか古代神話っぽいですね。ほとんどの人がイスラム教徒であるトルコで、死後の世界がこんなふうに自由に描かれるのは驚きです。

トルコの古代遺跡の魅力がたっぷり、現代社会に生きる人々のそれぞれの事情もわかる、貴重な映画です。

映画 わたしは異邦人
2024年トルコ
監督脚本 エミネ・ユルドゥルム
*女性監督のデビュー作!
2025/8/23土よりユーロスペースにて公開

シデはアンタルヤから車で1.5時間くらい。周辺の遺跡アスペンドスペルゲと組み合わせた日帰りツアーが出ています。トルコ2回目の人や長期間滞在する予定の人は、ぜひ地中海沿岸の遺跡や風光明媚な景観に触れてみてください!

お問い合わせは: