2025年7月9日水曜日

映画「わたしは異邦人」にはトルコ遺跡の魅力がいっぱい!

 

シデ遺跡にやってきた主人公のダフネ

トルコの地中海岸に、「シデ」という古代ローマ遺跡があります。このシデを舞台としたトルコ映画が日本で公開されるというので、試写に行ってみました。

主人公のダフネはイスタンブールで孤児として育ちますが、母親を探すためのヒントを求め、シデの街にやってきます。ダフネにはなんと死者の霊と会話をする能力があり、死んだ人が生きている人と会話をする手助けをしてあげたりします。古代ギリシャ・ローマでは巫女さんがシャーマンだったりしたそうで、ちょっと意識しているのかなあ、と。

ダフネという名前自体、古代ギリシャのニンフの名前ですよね。アポロンの求愛を拒み、月桂樹の木に身を変えてしまった、あの人です。

ダフネと交信する死者たち

左から、娘と話がしたい元娼婦、死者だけどダフネのよき友である政治活動家、右はなんと古代の神官。意外とリアル?で、トルコって、死後の世界を意外に身近にとらえている人がいるのかもしれません。政治活動家は生前つらい出来事を背負っていたのですが、なんだかとても明るくて、ダフネに「君をハグしたいけど、できない!」って。

古代人が出てくるのも面白いですね。現代のトルコ人は、基本的に中央アジアから移り住んできた民族ですが、古代ギリシャ・ローマ、もしくはそれ以前に生きた人たちも自分たちの歴史の一部ととらえているのかなあ、と。

ゲストハウスの女主人

ダフネが泊まるシデのゲストハウスは、いかにもトルコの地中海岸にありそうな、まあそれはそれはステキなところ。トルコって基本的にイスタンブール、カッパドキア、パムッカレで知られていますが、実は地方の小さなゲストハウスでのんびり過ごしたりするのにいいところ。人が優しくて、かなりリーズナブルです。

この女性は亡くなった夫からあまりよくない扱いを受けていたようで、夫は死んでからもいろいろ文句を言いに出てくるのですが、それを見たダフネが女主人を励ます、という場面もあります。

シデの浜辺

死者の霊というのは、やはりこの世に悔いがある人たちのもので、思い残すところがなくなると、海へ消えていきます。この辺も何だか古代神話っぽいですね。ほとんどの人がイスラム教徒であるトルコで、死後の世界がこんなふうに自由に描かれるのは驚きです。

トルコの古代遺跡の魅力がたっぷり、現代社会に生きる人々のそれぞれの事情もわかる、貴重な映画です。

映画 わたしは異邦人
2024年トルコ
監督脚本 エミネ・ユルドゥルム
*女性監督のデビュー作!
2025/8/23土よりユーロスペースにて公開

シデはアンタルヤから車で1.5時間くらい。周辺の遺跡アスペンドスペルゲと組み合わせた日帰りツアーが出ています。トルコ2回目の人や長期間滞在する予定の人は、ぜひ地中海沿岸の遺跡や風光明媚な景観に触れてみてください!

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